「阿吽」版画展示報告 2022年7月16日~7月25日

2022. 08. 04

活動報告

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コース
グラフィックデザイン / デジタルデザイン / イラストレーション / プロダクトデザイン / インテリアデザイン / マンガ / コミックイラスト / アニメ / フィギュア / 絵画 / 版画 / アクセサリー / 陶芸

「阿吽」版画展示報告  2022年7月16日~7月25日 (於)C棟1階

コミック・アート学科 美術・工芸コース(版画)2年生

① 濱中 祐介 「阿」,「吽」

私は、浮世絵や日本画、刺青の図柄などの絵がとても好きでそれを版画で表現したかった。

本来であれば木版画を用いれば浮世絵のような表現が出来るのだが、シルクスクリーンならではの偶然性のあるグラデーションや大きな作品を作りたかった等の理由からシルクスクリーンを選択した。

そして、今回特に拘ったのは浮世絵風な表現をどれだけ出来るかだ。その為に和紙屋さんに直接足を運び、色々な和紙を試し、最終的には三椏(ミツマタ)という紙を使用している。加えて色については、普通木版画などに使用される事が多い水干絵具や、膠成分を腐らせ深い黒が特徴的な どぶ墨などを使用している。

作品を近くで見て頂くと色の奥深さや和紙の質感が感じ取れる筈だ。

 

② 川畑 保々美 「日産パオ」,「テスラモデルX」

今回の作品はテーマが「阿吽」ということで旧車と現代車を描いた。

日産パオは日産自動車が1989年に販売した小型自動車でK10型マーチをベースとしたバイクカーシリーズの第2弾。中国語の「包(パオ)」から由来し、モンゴル遊牧民の「ゲル」を意味する。背景は1990年代の日本である。

テスラモデルXはアメリカのテスラが2015年に販売したクロスオーバーSUVタイプの電気自動車でモデルSのEVパワートレインや車台をベースに開発されたSUV。背景は2020年の日本である。

写真製版を用いた細かな背景の描写とシルクスクリーンで描いた大胆なタッチのコントラストを感じてほしい。

 

③ 中前 和大 「Hefsenberg」,「Mike Ehrmantraut」

これは顔シリーズの中から選んだ作品です。元々人間を描くのが好きなので生まれた作品です。

右の男は、どこか悲しげで何かを守りながら生きているイメージです。左の男は、目的のためなら手段を選ばないほどの狂気に満ちているイメージです。二つの作品は対になっていて二つで一つの作品です。

木版画特有の彫りの荒々しさや色の濃淡があるのでみてください。

 

④ 井上 夢依 「I」,「I(past and present)」

「I」は銅版画のエッチングとアクアチントの技法で制作しました。「I」は皆さん自身の私、僕、おれ、わし、等をあらわします。

左の短髪の子には女性の目を、長髪の子には男性の目を描き、性別は関係ないことをあらわしました。また、心の内をあらわすのに鏡を描きました。人には善い面も悪い面もありますので、人の心の内には人を傷つける武器や自分を守るための刃があるのではと、わかりやすく鏡の中に描きました。

もう一つの「I(past and present)」はアルミ版を使ったドライポイントにシルクスクリーンで色を重ねています。「I(past and present)」は私自身について描きました。私の今と過去に何をしてどこに行ったのかを描きました。人はどうしても忘れてしまう生き物なので、空白や真っ黒なところを入れ、ほとんどの人が持っているスマホにヒビを入れました。スマホには人それぞれ思い出が必ず入っているだろうと思い、その中から出ている様に描きました。

 

⑤ 鄭 翔兮 「白い世界に咲く 一輪の花」,「ありがたく受けたまえ」

私は色々なきっかけで脳内に浮かんできたものを絵にするのが好きです。

基本的に音楽や情緒変化によるものが多い気がします。元々パッションがあり、感情を引き起こしやすい芸術作品が好みなので、自分の作品も圧が強くなるようにしています。製版に関しては、それぞれの版種が持っている独特な「言語」を探りつつ、「版画らしさ」を求めたいと思っています。

銅版の「縛られた自由らしさ」と木口木版の「頑固感」が大好きであり、作品で伝えることが出来たら嬉しいです。

 

⑥ 廣瀬  陸 「四次元の扉」,「聖ソフィア大聖堂」

僕は今回二つの作品を作りました。

「聖ソフィア大聖堂」は、今ウクライナではロシアとウクライナの戦争が行われており、ウクライナは、壊滅的な状況にあります。しかし、ウクライナはこんなにも綺麗で魅力ある国だということを伝え、国花であるヒマワリに終戦と早く復興して欲しいという願いを込めて作りました。

「四次元の扉」は、視覚による知覚はできない。日常に囚われず、見る人により様々な見え方ができる様に意識して作りました。見ていて飽きず、面白い、またこんな世界もあるのかと想像を膨らませてほしいです。

僕の作品のモットーは、自分の思いを表現するのはもちろんの事、見ている側をも楽しませ、考えさせ、思いを伝染していくことです。まだまだ未熟ですが、これからもより良い作品を作れるように努力していきたいです。