2010年1月アーカイブ

1月25日、映像専攻では、映画監督の田中光敏さんをお迎えして、特別公開講座を行いました

映画好きでない人でも、昨年9月に公開され大ヒットした『火天の城』はご存知でしょう。
その監督である田中光敏さんは、実は大阪芸大映像学科のご出身。

 もともとCMディレクターとして数多くの名作をものにし、
 2001年『化粧師』で映画監督デビュー
 新人監督とは思えない見事な映像が高く評価されました

 2003年の『精霊流し』に続いて撮ったのが、
 あの『火天の城』
 次回作も大作が予定されている、超・売れっ子監督です

今回は、芸大出身というご縁もあって、
お忙しいスケジュールの合間を縫って、美専に来ていただきました。

『火天の城』の特別上映(DVDの一般発売は2月21日)もあって、
会場の視聴覚室は、映像専攻の学生だけでなく、
他専攻の学生や教員でいっぱいになる熱気

監督は「若い人に受ける映画じゃないかも」と心配されてましたが、
城作りのダイナミズムを壮大なスケールでとらえた映像の迫力もあって、140分近い長さもあっという間に過ぎました。
 

上映後、興奮冷めやらぬ中、田中光敏監督の講演が始まります。
学生時代の思い出に始まって、映画監督になるまで、長く携わってきたCMやテレビの仕事のお話、
特に実相寺昭雄監督についたときのエピソードなどを具体的に語ってくださいます。
学生たちも真剣な眼差しで聞き入っていました
ここには書ききれないほど、興味深く、ためになる話ばかりです。 

とりわけ監督が強調されていたのが
「人との出会いを大切にすること」
監督ご自身、ディレクターとして独立、会社設立、
そして念願の映画デビュー、と節目節目に
貴重な出会いがあったことを明かしてくださいました。
 
「夢を持ち続けること」
たとえ今、その夢とはかけはなれた仕事をしていても、 
   いつか必ずチャンスが来ることを信じて
 目の前のことを一生懸命にやり続ける。
 
そのなかで、多くの出会いがある。
 その人との出会いを大切にして、
 その人の期待に応えられるよう全力を尽くす。
 
そうした縁が、いつか夢をつかむきっかけになる。
ご自身の具体的な体験を交えたお話は、ものすごく説得力があり、学生たちも励まされたことでしょう

 また私自身が、最も印象に残ったのは、
 日本映画界の一流と呼ばれるスタッフの方々
 に関するエピソード。

 彼らに共通するのは
 「決して人の悪口を言わないこと」なのだとか
 
 現場での理不尽な要求や誰かのワガママに
 振り回されていて、 「あの現場どう?
 ○○さん、ひどいらしいね」と訊かれても、
 「いや、大変だけど、やりがいがあって楽しいよ。
 いい作品になると思う」とポジティブに返す。
 決して誰かの悪口や愚痴はこぼさない。

これが人から信頼される条件の一つなのだと気づかされました。
そして、それが「出会いを大切にすること」につながるんだと 

振り返って、自分自身は、この反対をやってきたんじゃないかと反省。
うまくいかないことがあると、すぐに人のせいにしてしまう。
「最悪の奴と組んでしもた」 「あいつがおらんかったらなあ」などなど。
本人を目の前にしていないと、ついつい悪口が出てしまう。
そして「嫌だ嫌だ、早くこの仕事を終わらせたい」「もう辞めたい」とすぐに後ろ向きになってしまう。

でも、こんなことをしてたら、信頼が得られるはずないですよね。
人の悪口を言わない。前向きに考え発言する。
常に実践するのは難しそうですが、今日から少しずつでもがんばってみようと思いました。

って言いながら、打ち上げで、早速だれかの陰口言ってしまってたかも…
猛省です学生のみなさんも、きっと多いに刺激を受けたことと思います。
今日のことを忘れず、各自が目の前のことに真剣に取り組んでほしいですね。

今後も、映像専攻ではこのような機会を設けていきたいと思いますので、
専攻に関わらず、みなさん奮ってご参加ください

 投稿 : 映像専攻教員 東陰地正喜 


展覧会に「観戦記」とは…  と思いますが、まさしく観戦記なのです。
観て、そして戦う!!圧倒的な技量と仕事量、ある種の凄みを纏った
プロの仕事がそこには展示されていたのです。

キャラクター造形学科の学生たちは、寒風(六甲おろし)吹きすさぶ神戸・阪神岩屋駅に集合し、
これからの楽しいであろう展覧会にワクワクとした心持ちで、兵庫県立美術館へ向かったのでした。


 安藤忠雄氏の設計による美術館は、
 好き嫌いはさておき
 神戸の海に面してその姿を見せます。
 
 まずは看板と対面、「となりのトトロ」に代表される
 アニメーションの世界への入り口です。

 この後、学生たちは圧倒的な作品群を前にして、
 たじろぎ、魅入り、ため息をつき
 打ちのめされるのです




作品群をお見せできないのが実に残念ですが…、
アニメーションの背景画と簡単に
言ってしまえるものではないのです

映像では感じとれない、繊細で美しい作品が
次々と展開し、それぞれの映像作品の持つ世界観をみごとに具現化しています。

幻想の世界を、懐かしい時代の空気や風景を、
それらはみごとに表現し、一枚の「絵」として
そこに在りました


 
 感性を最大限に刺激されて会場から出ると、
 さすがジブリ
 ちょっと安らぐ空間が用意されていました。

 折り紙でつくる「トトロ」です。

 この折り紙はけっこう複雑な折り方で、
 学生たちは苦戦、それでもなんとか形にして
 記念写真
 
 癒されました…? 



気がつくと、もう陽が落ちる時間

自分たちの目指す先はとんでもなく遠いかも
いや行き着けるはず…、
そんな、
アドレナリン全開展覧会「観戦」の一日でした。



   キャラクター造形学科 准教授 長沢 亮

   

ライフデザイン専攻2年生による展覧会『plywood  chair 』は、もう見ていただけましたか
さて先週に引き続き、作品のコンセプトと感想の紹介です
 

  張悠希さん

  コンセプトは、『お医者さんが恐くなくなるイス』
  小児科などで、親子が隣りあわせて座ることができるように、
  と配慮されています。

  覚えていますか?子どもの頃、一対一で
  お医者さんと面と向かったときのあの恐怖・・・

  このイスなら、1つの座面でお母さんと手を繋ぎながら
  安心して診察を受けることができます

  イスの形も、お子さんが怖くないよう雲のように
  やわらかくなめらかな曲線となっています。

  「お気に入りのイスができました。達成感があり楽しかったです。」


吉見友香さん

コンセプトは、『本を読むときにくつろいで座れるイス』
背もたれに角度がついていて、
もたれかかりながら楽に読書ができます。
いろいろな体勢で座れるように、座面も広く取ってあります。

体育座りなんかもできますよ
イスの脚のスペースには、本を立てかけることができる
デザインになっています

背もたれのてっぺんの部分は、斜めから見たときに
さざ波が立っているように見えることを狙いとしています。

「図面から実際に立体になっていくのがうれしかったです。」



今年のライフデザイン専攻の2年生は、なんと全員が女の子
山岡俊雄先生にお話を伺ったところ、
前期はデザイン・発想をする期間、後期は作るだけという段取りだったそうですが、
その『作る』ことが、女の子の手ではなかなか大変だったそうです。

工程の中には合板を切り出したり削ったり、工具を使ったり、単純に腕力と体力が必要な場面がたくさん出てきます。
男の子でも苦労することもある作業の中、みんなよく頑張った、と山岡先生。

 この授業では、図面から実際に座れるところ
 までを目指して進めていきます。
 
 生む苦しみに加え、作る苦しみ・・・
 通常より苦労する局面が多かった分、
 完成したときの感動もひとしお。
 その達成感満足感を体感することが
 大切だと山岡先生はおっしゃいます。

 そういった感覚を味わうことは、
 確実に次のデザインへと繋がっていくからです。
 中途半端に作ってしまうと、
 デザインへの原動力となる次へ次へという
 気持ちにはなかなかなりにくいものです。

写真中央は、ライフデザイン専攻の山岡俊雄先生です
山岡先生、ライフデザイン専攻のみなさん、快く見学させていただきありがとうございました


現在美専の展示ギャラリーでは、ライフデザイン専攻2年生による展示、『plywood chair 』が開催中です
これは、山岡俊雄先生の「ライフクリエイティブ I 」という授業内で行なっている課題の習作展です。

 『plywood 』 とは、合板のこと。

 1800ミリ×900ミリ×厚さ12ミリの合板を使用し、
 接着剤や釘などは一切使用せず
 組むという事だけで
 イスを制作するという内容です。

 この課題は、ライフデザイン専攻の作品の中では
 比較的大きく、頭で想像したものと
 実際に出来上がったものとのギャップも大きくなる。
 そこでデザインにおけるスケールの感覚を養う。


そして「組むだけ」という制約の中で、いかに発想やデザインをしていくか。こういったところが目的となります。
では、それぞれの作品のコンセプトと、制作後の感想を紹介していきましょう


森脇早紀さん

コンセプトは、『外で星をゆっくり眺めるイス』
皆さん夜空を見上げるとき、けっこう首が痛くならないですか?
森脇さんのイスは、ゆったりと星を眺めることができるように
イスに角度をつける工夫がしてあります

前から見るのと横から見るのでは、印象ががらりと変わります。
横から見たときのイメージは。なるほど三日月ですね

「初めは完成するのかとても不安でした。
  でも、それ以上の達成感です。」



  村上知紗さん
 
  コンセプトは、『公園のオブジェのような存在感のあるイス』
  後ろから見ると丸い一枚の板に突起がいくつも付いていて、
  一見イスとはわからないようなデザインとなっています。
  正面に周ることで、イスなんだ
  という驚きと発見を感じることができます。

  座るスペースは、広い部分がお母さん、
  狭くなっている部分がお子さんを想定。
  親子で楽しく座れるようになっています。
  おしりのちっちゃなお母さんならお子さん用に
  座れるかもしれませんよ

 「1年間かけて作ったイスが形になったとき、
  すごくうれしかった。とてもたのしかったです。」

この展覧会は、1月26日(火)まで開催されています
残念ながら座ることはできませんが、工夫を凝らしたデザイン、
そして木材のみからできたイスの木肌のなめらかな美しさを
目で味わってみてはいかがでしょう

来週も引き続き、学生さんたちの作品をご紹介します!お楽しみに


 ◆ライフデザイン専攻2年生による作品展示
   『plywood  chair 』
   1月19日(火)ー1月26日(火)
    9:00?17:00
   大阪美術専門学校 A棟 展示ギャラリー

   
       この真ん中のモニュメントには、
   学生さんたちの制作風景が貼ってあります。
   作品だけでなく、完成にいたるまでの苦労もじっくり見てあげてください。


新年にふさわしい情報をひとつ、美専の学生の活躍が届きました
学生さんの名前は樋口聡君。彫金専攻の1年生です。

 今年のお正月、
 香川県小豆島町馬木にある内海八幡神社に
 大きな張り子のトラが設置されました。
 このトラさん、顔はリアルで
 なかなかいかついのに、
 おしりがまるいのがかわいらしいです!

 参拝客は張り子にメッセージの書き込み
 記念撮影をすることができます。
 地元の新聞でも記事にもなったそうですよ。
 この張り子のトラの制作に
 携わったのが樋口君です

そのいきさつは、樋口君の地元の
新成人になる若者たちに、
何か年末にイベントをやってくれないかと、
地元のボランティアグループから
呼びかけがあったそうです。

集まった若者は10人
他のメンバーはこれまで芸術系の学校で
勉強してきたというわけではなく、
樋口君が主体となって張り子づくりを進めました。
張り子のデザインをしたり、
みんなに制作の流れを指示したり・・・

張り子のトラは、長さ5m、高さ2m、幅が3mという巨大なもの。
それほど大きなものを作るとなると大変な作業だったようで、
上のほうは手が届かず脚立を使って制作したそうです。
12月19日から制作を始め、2週間かけて張り子が出来上がりました

 『こんな大きいものを作る機会はそうないので、
 いい経験になった』  と樋口君。
 張り子には一面に願いごとなどの寄せ書きがあり、
 それを見て嬉しさを感じたそうです。

 樋口君は普段から小さなハリボテを
 部屋でコツコツと制作しているそうで、
 そのノウハウが地元を盛り上げるのに
 一役買ったのですね

 神社には2月までトラが飾られています。
 この期間、香川県に旅行など行かれる際には
 小豆島町馬木、内海八幡神社に
 訪れてみてはいかがでしょう
 
 いくつかの新聞社のホームページにも
 張り子の記事が載っていますので、
 そちらもぜひご覧になってみてください!こちら


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